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倫理学


by rinnrrigaku
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悲しみの復権

新しい世紀の潮流は、世紀が変わってからいきなり表れるのではなく、十年あるいは二十年も前に芽を出し、地味ながら徐々に育ち始めていたというものが少なくない。そういう新しい価値観や社会のシステムは、旧来の枠組みからは、はずれたものであったり対立するものであったり、初めのうちはなかなか社会に認められないことが多い。しかし、それでも先駆的な人々によると根気強く活動が続けられるので、環境条件が変質する新しい世紀を迎えると、どこかの時点でそれらが爆発的に広がり、あたりまえの社会通念になっていく。僕は、今、現代人の問題である、「生と死」や「命」の問題を、人間一人一人が生きている現場で、わが身の問題として見つめ考えてきたから、そういうミクロコスモスのなかに投影された時代の特質や変化の芽を読み取るほうに、頭が動いてしまう、言い換えるなら、他者としての国家や社会や「命」もさることながら、自分の内なる世界としての国家や社会や「命」を考える癖が身についてしまった。だが、一見小さな事柄であっても、生身の人間が生きていく上で重要な意味を持っている。時代の兆しを示すものに期待することもしばしばある。「小さな動きの大きな意味」とでも言おうか。本から学べる知識は、自分の実体験ではないから、あくまでも、孤立した知識であり、自己に影響をあたえるほど、能天気なこともなくはない。ただ、悲しみとか喜びに、自己を重ねると、深い情緒を感じるのも事実である。
by rinnrrigaku | 2009-01-22 22:58 |